きおくにないうみ ver.3

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Author:しんの ことわり
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〈BadEnd編〉最後の夜

12. 公文書館で見つけたフランソワの情報を誤摩化して海に行かなかった場合。
〈BadEnd編〉呪われた舞台の別パターン。





『フランソワ、これからはあなたが銃士隊を動かすのよ』
『ああ、ルネ…… 僕にそんなことが出来ると思うかい?』
『フフフ…… すべて私が支配するわ。
あなたは私のシナリオ通りに動けばいいの。
全てはリシュリュー様の繁栄のため……』

『誰か!! トレビル隊長が襲われたーーーー!!』
『何だと!? 枢機卿派の連中の仕業か!?』
『ああ、そうらしい。フランソワが一人で食い止めたが、大ケガをしたらしい』
『犯人はまだいるのか!?』
『いや、窓から逃げた! 女だ! すぐに追うんだ!!』
  :
  :
  :



「なぜこんな話を書いているの?」

「ああ、コンスタンス。俺はあまり気が進まないんだ……
だけど舞台演出家のアンリが気に入って、それで……」

「この人…… ルネのモデルは誰?」

「君をモデルにした訳じゃないんだ。
だけど俺のイメージの中で、フランソワと君が切っても切れない関係で……」

「“片腕のカリスマ”と呼ばれた銃士隊長のフランソワは、この作品では悪役になるのね。
……こんな舞台、本気で公開するつもり?」

「演出家のアンリの発案なんだ。
『片腕のカリスマは本当は枢機卿派のスパイで裏切り者だったという設定で行こう。
その方が面白くなる』って……」

「裏切り者という設定? その方が面白くなる?
……フランソワを冒涜しないで!!」

「コンスタンス…… そうか……
やっぱりフランソワは君の恋人なんだね?」

「あなたに…… あなたなんかに
フランソワの何が分かるって言うのよ……」

「すまない…… 俺の記憶がないせいで、君には辛い思いをさせてばかりだ。
結局、俺はいつも何もできない。誰も助けられないんだ…」

「……ダルタニャン?」

「こんなに君を愛してるのに…… 守りたいのに……
誰にも苦しんでほしくないのに……!」

「……私、あなたを誤解していたのかもしれない」

「……?」

「ずっと、人の苦しみなんてわからない人だと思ってた……」

「もしかして、昔の俺は君と面識があるのかい?」

「……あなたに全て話す時が来たのかもしれないわね。一緒に来てくれる?」

***

 「象」という名のパブ。
 外にはローシュフォールとジュサックがいる。
 おそらく正面だけでなく裏口にも配下が何人もいるだろう。
 しかし、酔客で賑わっている間は手出しできない。

 だからここを選んだ。

 それに、ここは……
 ありし日のフランソワとアトスが何度も語り合った場所でもあったから──



「コンスタンス、君の方がフランソワのことを知っていると思うんだ。
俺の記憶は、町の噂話や本で読んだ話が混ざり過ぎて、よく分からないんだ」

「フランソワは確かに枢機卿派のスパイだったわ。
片腕を失ってトレビルを守ったという逸話も作られたものよ。
あなたの書いている通りにね」

「フランソワの腕に深手を負わせたのは……」

「……私よ。私が彼をずっと監視していたの。
私のコードネームはAramis。フランソワはルネと呼んでいたけれど。
彼の周りには、私の他にも4人のスパイがいたわ」

「アラミス…… じゃあ、フランソワを殺したのも……」

「そうよ。何か思い出した?」

「……ダメだ! 悲しすぎる。悲しすぎて何も考えられない。
おかしくなってしまいそうだ」

「ダルタニャン、はっきり言うわ。今夜が最後よ。
あなたも私も、もう命はないの。
もうチェックメイト、何の手も打てない。
私はあなたを殺すことが出来なかった。
二人とも枢機卿の刺客に殺られてお終いだわ」

「アラミス…… 逃げよう、アラミス!
過去の事はもういい、フランソワの事も」

「バカね…… 男ってみんなそう……
私、今からでもあなたを始末すれば、組織に帰れるのよ……」

「君の好きにすればいい。俺は、命がけで、君を……
俺を殺して君が幸せになれるなら、いくらでも殺してくれ!」





『ルネ、君の誕生日に渡そうと思っていたんだが……』

『動かないで! 子供じみた手は使わないことね。
私が今もまだ本気で愛してるとでも思ってたの?』

『これなんだ…… ……ルネ……』





「私にはあなたを殺せない……
だけど守ることも出来なかった……ごめんなさい」

「遠くへ行こう。何もかも忘れて、二人で違う人生を始めよう。
君はアラミスでもルネでもない。君は俺のコンスタンスなんだ!」

「……そうね。最後に星を見て歩きたいの。いいでしょう?
あなたの夢物語をもっと聞かせてくれる……?」





「どうだいコンスタンス、ここからの展開には自信があるんだ。
なんて言うのかなぁ、ほら、創作意欲って言うのかなぁ。
書きだすとペンが止まらないんだ……

おおお、コンスタ~~~ンス、君の言うとおりさ……
だけど、その…… なんて言うかなぁ、
もし僕のこの作品が出版されたら……
その時は、コンスタンス……

コンスタ~~~~~ンス ウヴァテュ~~~………」



 FIN


〈BadEnd編〉告白

11. PUB de Elephantから分岐するエンディング。





『アトスくん、まだ君は私を疑っているようだね。
 確かに、君の仕事にとって、それも重要なことだろう』

『フランソワ、俺はあなたの人格そのものを、決して疑ったりはしない。
 あなたは俺たちが次の段階に進むために重要な役割を果たそうとしているんです』
  :
  :
  :



「ダルタニャン、この書き付けは何? 小説?
それとも何か思い出してメモしてるの?」

「それがその…… 自分でもよくわからないんだ。
だけど何か思い出せそうな気がして……」

「またそれね。いい加減さっさと思い出したら?
他のメモも見せて。何かアドバイスしてあげるわ」

「他には……これとこれと……」

「わざわざ何を書いているのかと思えば……
あなた、官能小説でも書くつもり?」

「コンスタンス、悪いが今日はもう帰ってくれないか…
一人で静かに考えてみたいんだ… すまない…
でも、俺を嫌いにならないでくれ…」

「わかったわ。でも夜は勝手に出歩かないこと。
必ず部屋に戻るのよ。いいわね?」


***


『愛するコンスタンス

君に言われた通り、あれから必死に考えてみた。
そうしたら、君が、俺の親友の恋人だったことを思い出せたよ。
でもそれ以上は何も分からない。

君を見ていると、狂おしいほどに胸が高鳴る。
でも、この早鐘のような鼓動が愛なのか、それとも憎しみなのか、
自分の感情が分からなくなってしまった。

実を言うと、君には何度か殺意を抱いたことがある。
必死に抑えてきたけど、もう無理みたいだ。
だから、もう君とは一緒にいられない。

さようなら。どうか探さないでくれ』
  :
  :
  :



「記憶喪失と言っても、フランソワが一目置いた人だもの。
私の見通しが甘かったみたいね……」

 Aramisは、記憶を取り戻しかけた彼が行きそうな場所を思い浮かべた。

「まずいわ。ローシュフォールがどう動くか……」


***


 その夜、部屋を抜け出したダルタニャンことアトスは、かつて在籍していた銃士隊の詰め所へ向かっていた。
 人気の途絶えた隊長執務室で待っていたのは、ローシュフォール伯爵だった。
 アトスは何も気付かないまま、銃士を装ったローシュフォールに、思い出したことを告白し、そして、その手にかかった。



「遅かったな、Aramis」

「……余計なことをしてくれたわね。
ダルタニャン… いえ、アトスは最後に何を言ったの?」

「大した内容じゃない。とんだ見込み違いに長いこと付き合わされたものだ。
君の献身も無駄だったな。あれだけ世話を焼いてやったのに、恨まれては叶わん」

「……記憶を取り戻したなら当然でしょうね」

「フッ…… 何にせよ仕事は終わりだ。
言っておくが、感傷に浸っている暇はないぞ。
明日リシュリュー様が処遇を決めるから、それまで町にいるんだ」

「私は何もしくじっていないわ!」

「……残念だ。君がそんな風に言い訳する女とは思わなかった。
フランソワと違って、所詮は田舎育ちの下級貴族と言ったところか……
っと、これは失言だったかな。
命を取られる前に退散するとしようか」



FIN


〈BadEnd編〉呪われた舞台

12. 公文書館で見つけたフランソワの情報を誤摩化して海に行かなかった場合。





『フランソワ、これからはあなたが銃士隊を動かすのよ』
『ああ、ルネ…… 僕にそんなことが出来ると思うかい?』
『フフフ…… すべて私が支配するわ。
あなたは私のシナリオ通りに動けばいいの。
全てはリシュリュー様の繁栄のため……』

『誰か!! トレビル隊長が襲われたーーーー!!』
『何だと!? 枢機卿派の連中の仕業か!?』
『ああ、そうらしい。フランソワが一人で食い止めたが、大ケガをしたらしい』
『犯人はまだいるのか!?』
『いや、窓から逃げた! 女だ! すぐに追うんだ!!』
  :
  :
  :



「なぜこんな話を書いているの?」

「ああ、コンスタンス。俺はあまり気が進まないんだ……
だけど舞台演出家のアンリが気に入って、それで……」

「この人…… ルネのモデルは誰?」

「君をモデルにした訳じゃないんだ。
だけど俺のイメージの中で、フランソワと君が切っても切れない関係で……」

「“片腕のカリスマ”と呼ばれた銃士隊長のフランソワは、この作品では悪役になるのね。
……こんな舞台、本気で公開するつもり?」

「演出家のアンリの発案なんだ。
『片腕のカリスマは本当は枢機卿派のスパイで裏切り者だったという設定で行こう。
その方が面白くなる』って……」

「その人とは劇場で会ってるの?」

「……」

「どうして私に言ってくれないの?
演出家のアンリ……と言ったかしら。
何かおかしな憶測でも吹き込まれてないでしょうね」


***


「医者を呼べ! 今なら間に合うかもしれない!
まだ温かいんだ! 解毒剤か何か飲ませれば……」

「町医者がそんなもん持ってるかよ! アンリは毒を盛られたのか!?
一体いつ? 誰がやったんだ!?」

「そんなこと俺に分かるはずねぇだろ!」

「あの…… 今日はもう帰った方がいいんでしょうか?」

「ちっ…… 『今日は』じゃねぇよ、何もかも終わりだ……
だからあんたのホンなんかやりたくなかったんだよ!」

「……アンリは死んでしまったんですか?」

「ダルタニャン、駄目みたいね。毒殺みたいよ。
無駄でしょう。一目見ればわかるわ」

「コンスタンス…… どうして君は……」

「もう帰りましょう。
仕事がなくなったのは残念だけど、運命には逆らえないのよ」

「運命…… ……」





『運命には逆らえないのよ、悪く思わないでね』

『ルネ…… 君は仲間だと思っていたよ。残念だ』





「…………!! ちょっと待ってくれ!
俺にアンリの死体を見せてくれ!!」

「ちょ、ちょっと! 落ち着いてダルタニャン!」

「そこをどけ!! 人殺しめ!!
お前がフランソワを殺したんだ!!
お前がアンリを殺したんだ!!」

「……何を思い出したか知らないけど、それがどうしたって言うの?
あなたのおとぎ話につきあってくれる人が何人いるかしら?」

「なっ…… ふざけるな!!
俺はフランソワと共に、腐りきった銃士隊を再編成すると約束したんだ!
君なんかに邪魔はさせない!! させるものか!!」


***


 その夜、一人の男が敬愛する舞台演出家の死を嘆き、入水自殺を図ったと伝えられた。
 その後も多くの関係者が謎の事故死を遂げ、フランソワの呪いとの噂が立った。
 なんでも彼らは『悪魔に魅入られた銃士』という題材の舞台の制作を進行中だったと云われている。

 だがその真相の全ては伝えられていない。


FIN

〈BadEnd編〉海に沈む男

11. PUB de Elephantの最後から分岐。





「…………zzz」

「ダルタニャン? もう眠った……?」

 杯にこっそり忍ばせた薬の効果は抜群だ。朝まで目覚めないだろう。
 Aramisは静かに部屋を抜け出した。



***



『フランス国王直属の近衛銃士隊2代目隊長、フランソワ。
 先代国王とも関係の深いダニエル侯爵家の直系であり、その卓越した手腕と人望から、かつては片腕のカリスマと称えられた。
 現国王・王妃から絶大な信頼を得て、若くして破格の地位を与えられながら、王妃と敵対する枢機卿の支持と銃士隊の解体を宣言し、銃士隊崩壊の引き金となる。
 それ以降の消息は不明。
 枢機卿派か王妃派、いずれかの刺客の手に落ちたものと見られている。』
  :
  :
  :



「何を調べているの?」

「ああ、コンスタンス!
俺はこの人と……フランソワと知り合いだったんだ!
教えてくれコンスタンス! どんな人だったんだ!?」

「……そうよ、あなたが書いている片腕の詩人は間違いなくフランソワだわ。
そこに書いてある通り、彼は最後には仲間を裏切って行方不明になったのよ」

「う、うそだ…… そんな…… そんなことって……」

「信じられないでしょうけど、間違いないわ」

「ところで、王妃派って何のことだ? 君も俺も王妃派だったのか?」

「過去を知らないあなたには、難しい話よ。
私もフランソワもあなたも、みんな王妃派だったわ。
あなたは三銃士と讃えられ、自慢の剣を奮っていた。
もしかしたら何か記録が残ってるかも知れないわね」

「それが、何もないんだ。俺らしき人物の記録は一枚も見つからなかった」

「……そう。どこかに紛れてしまったのかしら」

「だから… だからこそ君に聞きたいんだ!!
俺はその頃、どんなことを言って、どんな活動をしていたのか。
どうして俺は海に転落して、記憶をなくしてしまったのか……」

「…………その海に行ってみる?」



***



「フランソワーーーーーーッ!! どこへ行ったんだーーーー!!
教えてくれーーーーー!! 俺はいったい誰なんだーーーーー!!」

「さあ、あなたが流れ着いた場所はあっちよ」
  :
  :
  :





『フランソワ、あなたには消えてもらうわ。
運命には逆らえないのよ、悪く思わないでね』

『ルネ…… 君は仲間だと思っていたよ。残念だ……』

『すっかり銃士の臭いに毒されたわね。言うことはそれだけ?』

『短い間だったけど…… いい仕事が出来た……』

『フランソワ!! 今すぐその女から離れるんだ!!
君にはまだやることが… 使命があるじゃないかーーーー!!』






「何か思い出したかね、アトスくん」

「!!  あ、あなたは誰ですか!?」

「君の旧友だ。ローシュフォールとでも名乗っておこう」

「?…… コンスタンス…… コンスタンスはどこへ?」

「始末したよ。こんな役立たずだとは思わなかったんでね」

「どういう意味だ!? 始末ってどういう事なんだッ!?」

「君がコンスタンスと呼んでいる女は、君の親友の恋人ルネであり、
フランソワを殺した女スパイAramisでもある。
そして、君も、情報を聞きだした後に彼女が息の根を止めるはずだった。
……これで何か思い出したかね?」

「う、うそだ!  勝手なことを言うな!!
コンスタンスをどこへやったんだーー!!」

「何も思い出さないようだな。とんだ見込み違いに長いこと付き合わされたもんだ」

「一体、何の話をしてるんだ。お前は誰なんだ!」

「君の正体は銃士隊で三銃士と呼ばれたアトスだ。隊長のフランソワとは親友だった。
フランソワが裏切り者だと気付いたにも関わらず、秘密を守り、フランソワを説得し続けた。敵ながら見上げた心がけだ。
Aramisはフランソワの監視役だったが、二人ともずいぶん毒されていたよ。
フッ…… 俺もジュサックを部下に持ってからずいぶんと無駄口が増えたな」

「……う、ああぁぁ……」

「無理をするな、何も思い出さなくていい。
どちらの陣営に有利な事実であれ、今の平穏を破られたくない。
フランソワが何も残していないと分かればそれでいいのだ」

「うぅ…… コンスタンス……? ルネ……?!
……彼女が何者でも構わない。コンスタンスをどこにやったんだ…
フランソワの秘密を教えるから殺さないでくれ!」

「残念ながら、君には何の選択権もないのだよ」

「ッ!! あ、あうっ…… うぐ……」

「君が迎える結末を、最初に断っておくべきだったかな?
海の底でフランソワと酒でも酌み交わすがいい」






「……Aramis、君が思い余って割って入りやしないかと、ヒヤヒヤしたよ」

「ふざけないで! こんな大掛かりな茶番は初めてだわ!」

「クックック…… たった5人の部下で君を抑えられるとは思いもしなかったよ」

「これで終わりね。好きに報告すればいいわ。こんな屈辱、二度と忘れない……!」

「黒犬のなきがらは好きにしろ。遺品を一つ持ち去るのが流儀なんだろ?
そんな甘えたことをやってるうちに全ての地位を失うことになるぞ!
アビヤント! Aramis!」





「どうだいコンスタンス、ここからの展開には自信があるんだ。
なんて言うのかなぁ、ほら、創作意欲って言うのかなぁ、
書きだすとペンが止まらないんだ……

おおお、コンスタ~~~ンス、君の言うとおりさ……
だけど、その…… なんて言うかなぁ、
もし僕のこの作品が出版されたら……

その時は、コンスタンス……
コンスタ~~~~~ンス ウヴァテュ~~~………」



 FIN


〈BadEnd編〉組織の決定

ローシュフォールの忠告(7. 監視者ローシュフォール)の後。
ダルタニャン=アトスの記憶が戻らず、始末する決断もしないまま、無駄に時間が経過した場合。





 Aramisを呼び止める声が聞こえた。
 いつもの監視役・ジュサックではなく、枢機卿派を統括するローシュフォール伯爵だった。

「昨日は連絡を受けていないと聞いたが、何かあったのか?」

「昨日? 昨日はジュサックが時間に遅れたのよ。
他の連絡員に変えてもらわないと、私の評価までガタ落ちね」

「……いいだろう、そう報告しておこう。それで、黒犬の様子はどうだ」

「あいかわらずね。下手な小説に付き合わされてうんざりだわ」

「……そうか。……ところでAramis。
君の意向を無視するわけではないが…… 組織は今、人手が足りないんだ。
君のような人材をいつまでも一人の男の監視につけておく訳にもいかない。
少し考えてくれないだろうか……」

「そうね、考えておくわ」

「その返事は先日も聞いた。君には迷いがあるように見える。
組織でも同じ意見だ。今回は従ってもらおうか」

 ローシュフォールの隻眼は、有無を言わせない殺気があった。

「……わかったわ、組織の決定に従うわ」

「Aramis、これが組織の決定だ……」

 身を伏せる間もなく、ローシュフォールの短剣が左胸に突き立った。
 赤い血が鼓動に合わせて、どくどくと音を立てて噴き出している。
 もうAramisの口からは言葉すら出ない。息をのむことも出来ない。
 意識が薄れていく。

 ローシュフォールは、崩れ落ちるAramisを見下ろしながら笑っていた。

「次に生まれてくるときは、どこか遠い北の山奥あたりにすることだな」

 それがAramisの聞いた最後の言葉だった。

(今なら、あなたの下手なおとぎ話も、最後まで聞けそうよ……)

 薄れていく意識の中で、彼の無邪気な顔だけが思い出される……



「どうだいコンスタンス、ここからの展開には自信があるんだ。
なんて言うのかなぁ、ほら、創作意欲って言うのかなぁ。
書きだすとペンが止まらないんだ……

おおお、コンスタ~~~ンス、君の言うとおりさ……
だけど、その…… なんて言うかなぁ、
もし僕のこの作品が出版されたら……
その時は、コンスタンス……

コンスタ~~~~~ンス ウヴァテュ~~~………」


 FIN


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