きおくにないうみ ver.3

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□ フランス式王様ゲーム □

1. 新年のお遊び

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 新年を祝う宮廷行事は、例年通り賑やかに執り行われ、つつがなく終わった。期間中、ルーブル宮殿の警備や要人警護に当たっていた銃士隊は、通常の勤務体制に戻り、非番の銃士は解放された。

「一体この国には何人の貴族がいるんだ!」

 国王のご機嫌伺いに登城する貴族が引きも切らず訪れ、やっと人手が絶えたのが本日。年明けからもうすぐ一週間が経とうとしている。

「ふふ、ダルタニャンもさすがに疲れたみたいだな」
「だってコンスタンスに全然会えないし」
「不満はそっちか」

 王妃に仕えるコンスタンスは、今も宮殿の奥で多忙を極めているに違いない。

「ダルタニャンと違って、コンスタンス殿は喜んでお仕えしてるだろうがね」
「うーー…」

 否定できないのがもどかしい。

「言っておくが、王妃様に対抗心燃やしても無駄だと思うぞ?」
「そ、そんなこと…!」
「いいか。コンスタンス殿になったつもりで王妃様とダルタニャン自身を天秤にかけてみるんだ。どっちに傾くと思う?」

 ダルタニャンは言われるまま想像してみた。

「……ぼく?」

 至極まじめに答えたつもりだったが、三人に笑われてしまった。

「相変わらずダルタニャンの頭はおめでたいなあ」
「新年だし、おめでたいのは良いことじゃないか」
「いや、そういう意味じゃなくて……うーん、まあいいか」

 苦笑するアラミスと、首を傾げるダルタニャン。皮肉が通じないダルタニャンは予想の斜め上に解釈するので、からかい甲斐があるのだが、やりすぎると後でアトスに意趣返しされる。程々で引くのが吉だ。

「俺の想像の天秤では、ダルタニャンが奈落へ落ちて行った」
「ええ?!」

 今日はアトスもなかなか手厳しい。

「どういう意味だよ!」
「君からの愛が重すぎるんだ」

 色恋の話になると、アトスは容赦がない。しゅんと落ち込むダルタニャンにかける言葉が見つからず、アラミスはポルトスに耳打ちした。

「なあ、アトスの奴、少し言い過ぎじゃないか?」
「何が?」
「……もういい。ポルトスに聞いた僕が悪かった」
「な、何だよ、何で怒ってるんだよ? 腹でも減ってるのか? おーいアラミスー」

 長いため息と共にわざとらしく肩を落とすアラミスだったが、ポルトスには全く通じない。
 退屈な長時間労働後の銃士たちは、相当フラストレーションが溜まっている。



 城下へ下る共通の大通りから、各自の住まいへ分かれる岐路にやってきた。
 四人は騎乗する馬の足を止めた。

「では、今日はここで」
「待て待て、このまま解散するのか?」
「コンスタンス殿の代わりに俺たちがダルタニャンを慰めてやろうじゃないか」
「やめてくれよ、慰めなんて!」

 ダルタニャンが食って掛かったが、アトスはどこ吹く風だ。アラミスはヒヤヒヤしながら、ポルトスは飄々と成り行きを見守っている。

「ボナシュー家に帰ったところでコンスタンス殿はまだ戻ってないのだろう?」
「その話はもういいから」

 わざと地雷を踏みまくるアトスに堪えきれなくなったアラミスが、フォローするように間に入った。かつて「神経がない」と評されたダルタニャンだったが、最近はそうでもない。殊にコンスタンスに関しては。
 険悪になりかけた雰囲気を破ったのは、それまで黙っていたポルトスの発言だった。

「じゃ、みんなの労をねぎらって新年会でもやろうじゃないか!」

 三人は無言でポルトスを見上げた。清々しい笑顔である。

「新年会?」
「そうだ。みんな腹が減ってるからカリカリするんだ。満腹になれば万事解決! 名案だろ?」
「ふむ、悪くないな」

 ポルトスは食い気をあらわにしている。アトスはすました顔だが、祝杯と称してたらふく酒を飲む算段に違いない。
 一方のアラミスは呆れ顔だ。

「結局いつもと変わらないじゃないか」
「そうだよ、僕をダシにして!」

 ダルタニャンが不服そうに頬を膨らませた。

「まあまあ。ダルタニャンはどんな趣向が好みなんだ?」

 いつの間にか新年会が決定事項になっている。彼らにとって、口実は何であろうと構わないのだ。
 新年会をするかしないか二派に分かれたが、ダルタニャンとて仲間同士で飲み食いするのは嫌いではない。今は、コンスタンスと会えない鬱憤を晴らしたい気持ちもある。

「どうせやるなら……」
「えっ、付き合う気かダルタニャン?」
「そうこなくっちゃ!」

 アラミスとしては、早く一人になってここ数日の疲労を洗い流したいというのが本音なのだが、他の三人は知る由もない。
 ダルタニャンは何か企むような笑みを浮かべると、舌先で唇を舐めた。

「王様ゲームやらない?」



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プチあとがき


無駄口が多くてスミマセン。
仲良し四銃士を書くつもりが、いつの間にか険悪っぽい?会話 → ダルタニャンが小悪魔に……
年末の労働でフラストレーションが溜まっているのは、筆者だったようです。

冒頭に書きました通り、続きは年明けになります。
元旦更新はちょっと無理かもしれませんが、1月中には…(幅持たせ過ぎ)

>やりすぎると後でアトスに意趣返しされる
アラミスが何されるかは、読者諸氏のご想像にお任せします(笑)

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Date:2011/12/24
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