きおくにないうみ ver.3

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□ Mélodie de vie □

5. 少数精鋭で

「アトス! 報告は終わったのか?」
 銃士隊長の陣幕を出た所で、ポルトスが小走りでやってきた。負傷したアラミスを治療させるため、アトスとポルトスは別行動をとっていたのだ。
「アラミスはジャンに任せた。あいつ、治療の必要はないって大暴れしてたんだけどさ、ジャンになだめられたら嘘みたいに静かになったぞ」
 さっきまでの騒動を思い出して、くくっとポルトスが笑った。
「アラミスってああ見えて、子供に弱いよなぁ」
「子供には違いないが、ジャンなら安心だろう。あの子は年の割にしっかりしている。ひょっとしたらダルタニャンよりも」
「言えてる」
 はは、と笑いかけたポルトスだったが、笑い声はすぐにかき消えてしまった。二人の間に重苦しい空気が漂う。たまりかねたようにポルトスがため息を吐き出す。
「コンスタンスがそっちに行っただろ」
 ポルトスが困ったように頭をかいた。
「俺、うまく言えなくてさ」
「だろうな」
「嫌な役回りばかりアトスに任せて悪いと思ってるよ。でも、こういう時に上手い話し方ができるのはアトスしかいないんだよ」
「買いかぶられては困る」
「お世辞じゃないって」
「事実だ」
 言葉に僅かな苛つきが滲み、ポルトスはアトスの変化に気づいた。四人の中で最も付き合いが長い間柄だ。平静を装ったアトスの焦りを、ポルトスは見逃さなかった。表情が引き締まる。
「何があった?」
「…隊長への報告を聞かれたらしい。コンスタンスは心の準備も整わないまま、事実を知らされた」
「ええっ! そ、それでコンスタンスは」
「そのまま行方知れずだ。ダルタニャンの捜索に加わりたいのは山々だが、今は一刻も早くコンスタンスを探さなければならない。早まった行動をしないとも限らないからな」
「わかった」
 ポルトスは風貌と言動からのんびりしていると思われがちだが、決して頭は悪くない。今の自分がやるべきことを素早く飲み込み、すぐに行動に移すことができる男だ。大きな声で数人の銃士を捕まえると、二手に分けた。
「お前たちはコンスタンスを探すんだ。そして、こっちは」
「ちょっと待て」
 手際よすぎるポルトスの行動に、アトスは慌てて静止させた。
「ダルタニャンは銃士見習いだ。ただの一兵卒の捜索に国王の銃士を何人も担ぎ出す訳にいかん」
 正論を言ったつもりだったが、ポルトスはきょとんとしている。
「何言ってるんだ。鉄仮面とミレディの最後の足取りを知ってるのはダルタニャンだけなんだぞ」
 アトスがはっとする。「む……。なるほど、重要参考人というわけか」
「そういうこと」
「ならば、二手に分ける必要はない。お前たちは全員ベルイールへ行け」
 アトスの命令に、今度はポルトスが慌てた。
「お、おい。コンスタンスはどうするんだよ!」



「コンスタンスは俺たちが探す」
「たった二人で? あ、あとアラミスか。ケガの具合が気になるが、大人しく休んでいるような奴じゃないだろうし」
「負傷者に無理をさせるわけにはいかないが、ベルイールへ渡るより体の負担は軽いだろう。コンスタンスの捜索は少数精鋭でいこう」
 そこまで考えてのことかと、ポルトスは感心した。
「で、捜索の当ては?」
「俺は女が苦手なんだ。コンスタンスが何を考えてるかなんぞ見当もつかん」
「そうだ。アラミスは女心に詳しそうだから、もしかしたらコンスタンスの行きそうな所とか思い当たるかもしれない。なるほど、捜索には打ってつけだな」
 ポルトスは「さすがアトスの考えは違う」などと言って一人で納得している。が、一方的に感心されているアトス本人は至って冷静だった。
「それ、アラミスの前で言うなよ」



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プチあとがき

人員のほとんどをダルタニャン捜索に当てる辺りに、アトスの愛が(略)
当初の予定では、前回の「4. 聞き分け」がなくて、今回の話は前々回「3. 行方」の後半に組み込まれる予定でした。2話分も増えてしまった! 書いてるとコロコロ方針転換していくなぁ。
ぐだぐだしてないで早く進めろ!という苦情は、拍手ボタンからどうぞ(それは拍手じゃなくてブーイング)

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Date:2010/09/18
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