きおくにないうみ ver.3

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□ Mélodie de vie □

1. 奈落へ

はじめに

2009年夏に発行した個人誌で小説「Mélodie de vie」を書きました。
が、思いのほか長文になってしまい、苦肉の策で、話全体の一部分を切り取って無理矢理まとめたという経緯があります。
私自身も不完全燃焼ですが、かといって1冊の本としてまとめるのもちょっと苦しいので、ネット上で公開することにしました。
同じテーマ・エピソードを扱ってますが、個人誌とは似て非なるものになりそうです(個人誌に掲載した創作物はWeb上では公開しません)。場合によっては、矛盾が生じるかもしれませんが、ご了承ください。

タイトルも一新したい気分。





 身軽なダルタニャンならではの奇策で、単身ベルイールの要塞に潜入すると閉ざされた鉄扉を開放した。敵方の篭城計画は崩れ、銃士や護衛士たちが塔の中へなだれ込む。

 形勢逆転の立役者となったダルタニャンは、味方の活躍を見届けることなく最上階を目指した。階下では激しい攻防が繰り広げられているが、ダルタニャンは(戻って加勢するより、今は進まなければいけない時だ)と感じていた。首飾り事件でイギリスへ向かう道中、ダルタニャンが三銃士から学んだことの一つだ。アラミスの負傷も、ありし日を思い起こす。
(みんな、無事でいてくれよな)
 仲間を信じて、自分にできる最善を尽くすしかない。そもそも、情にほだされてミレディを逃がさなければ、一連の鉄仮面騒動は起こらなかったはずだ。コンスタンスは負傷し、ボナシューは仕事と家を失い、国王は処刑寸前に追い込まれて――
 最後はダルタニャン自身の手で決着をつけなければ、到底納得できるはずもなかった。

 塔の螺旋階段をかなり上った頃、ダルタニャンは視界の端にひらりとドレスの裾を捕らえた。その瞬間、地響きとともに眼前を閉ざすように壁が立ち塞がってきた。挟まれる可能性など考えもしないで、ダルタニャンは塞がりつつある空間に飛び込んだ。
 滑り込んだ先は、豪華な調度品に囲まれた部屋だった。調度品はどれも高価な一級品ばかりだが、素材や装飾に統一感がない。鉄仮面一味による盗品に違いない。

「ミレディ?」
 室内には誰もいない。さきほど見かけたドレスの裾を翻らせた女の影は一体どういうことだろう。ここは要塞の最上階だ。逃げ場はない。見間違いだったのだろうか。

 数々の調度品の中に、外部から持ち込まれた物でなく、最初から設えられたワードローブがあった。観音開きの扉は開いていて、中身は空っぽだ。何もない。あるべき底板すらない。ワードローブの底が黒々と口を開いていた。
 ダルタニャンは迷わず飛び込んだ。

 ワードローブの底は、実は底なしではなく、急角度で傾斜していて滑り降りる仕組みになっていた。だが、先が見えないことに変わりない。それでも、ダルタニャンに迷いはなかった。



 奈落の底――要塞の地下には、仮面の男と妖艶な女が二人いた。逃避行を目前にして女の方が心変わりしたらしく、口論をしていた。ロマンスとは程遠い雰囲気の中、白い小猿がキキッと鳴いて女にしがみついた。
 正確には、険悪な空気を破ったのは小猿ではなく、まるで場違いな一人の侵入者……
「見つけたぞ。ミレディ! 鉄仮面!」



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プチあとがき

アニ三の最終回前半部分を書き起こしてみました。
一応DVD見直しましたが、セリフはいい加減です。

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Date:2010/08/16
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